日本美術刀剣保存協会和歌山県支部

楽久我喜帖

日本美術刀剣保存協会|和歌山|紀州|

楽久我喜帖

楽久我喜帖

「カタナは我が心の癒し」也!

< 多部 康人 >

日・刀・保和歌山県支部に入会して早いもので六年が経ち、私も今年で還暦を迎え、老年期に入ろうとしています。
しかし、気持は青年時代とかわりませんが、いかんせん体の老化は待ってくれません。
特に、脳細胞の劣化が激しいのか・・・?物覚えが悪く、当然ながら刀工や刀装具の作者銘等なかなか覚えられません。
あげくの果ては、基本となるべき各部の部分名称すら忘れがちな今日この頃です。
病院でアポナール(アッポ治る?)なる薬をもらうも一向に改善しません(笑)。
果たしてこのままで終わるのだろうか心配です。
そんな私が支部に入会したきっかけは、亡き義父が残した刀剣・刀装具をそのままにして朽ちさせてしまってはならないという想いからでした・・・(考)。
本音を云いますと知識が無いと適切な値段で処分する事ができない。出来ればそれ以上の値段で処分したい、従ってそれを可能にする為には、それ相応の知識が必要だと思ったからです。
人間の持っている三欲の一つ金銭欲・・・イヤですね。
私は三十年という長い間、家庭学習教材のセールス業界に身を置き、日夜第一線で販売の仕事にたずさわってきました。
当然ながら、刀の一本や二本は飛びこみ訪問販売でも売れると自負していましたが、刀剣は勉強すればするほど奥の深いもので自分の思う値段での販売はそう簡単に出来るものではない事を痛感しました。
まして当初はカタナについて興味や関心の全くなかった私ですからなおさらの事です。
以上のような訳で、支部に入会させていただいたのですが、諸先輩方に質問すれば分りやすく何回でも教えてくれるのがとても嬉しく、今では分らないなりに楽しく例会にも参加させていただいております。
また、刀剣等を鑑賞したり話を聞いたりしている時は、仕事の事を忘れる唯一の癒しの場となっております。
この六年間での一番の思い出は、平成十九年七月に行なわれた重要刀剣の審査会に、鞘袋の小札に「久野丹波守差料の内」と墨書きある無銘の寸延短刀一振りを応募し、見事合格した事です。
この短刀は、以前相州広正で甲種特別貴重書が付いていたもので、支部の或る大先輩から、うまくいけば貞宗、悪くても式部丞信国辺りの鑑定が付くのではないかとの助言をいただき、先ず保存審査に再審出品いたしました。
今回、この短刀は「初代信国」の鑑定をいただきましたが、保存の合格通知には【無銘(不動貞宗)】と印しながら改めて【無銘(初代信国)】と訂正されており、審査の先生方も大いに迷われたものと推量出来ます。
こうしたことから、特重も夢ではなかろうかと云う嬉しい噂も耳にしております。
この三月中には里帰りするとの事、楽しみにしています。
そして助言をいただいた先輩にも重要刀合格を我が事のように喜んでいただき、誠に感謝しております。ありがとうございました。
最後になりましたが、今回発行する会報の名称が「楽久我喜帳」とはすごく良い名前ですね。誰でも気軽に応募できる雰囲気ですから・・・。
これからもカタナを通じた仲間同志として、支部長を中心とした楽しい会にしようではありませんか。今度共宜しくご指導の程お願い申し上げます。

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