日本美術刀剣保存協会和歌山県支部

楽久我喜帖

日本美術刀剣保存協会|和歌山|紀州|

楽久我喜帖

楽久我喜帖

刀剣随想

< 大川 治 >

日本刀に出会って感動を覚える人は少なくないと思う。
ある人は その 鋭さに
ある人は その 美しさに
ある人は その 背負っている歴史の重みに
感動するであろう。
刀剣の凄さは、地球上の何処にでもある土塊に等しい素材、砂鉄から匠の技によって宝石にも等しい価値ある物に生まれ変わる処にある。
昔話に、「あの若侍、腰のものがあっぱれ!清麿なる故に、俺の娘を嫁にやろう。」とある武士が云うたそうな。
刀によって自信が満ち、又、人格までが高められると云う「人を活かす力」もある。
反面、刀は錆び易く、傷つき易く、失われ易い。
そこに我々人間と重なるところがある。
努力の如何により磨けば光り輝くが、怠ると否応なくそれなりの結果がでてしまう。
人の身体は自分で気付かない内に患いをもっていることがある。
刀身は鉄の幾重もの重なりから成り立っているため、内々の重なりの中に思わぬ傷を抱えていることがある。
その危うさ、脆さは人と似ていて、”愛おしさ”さえ感じる今日此の頃である。

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